「いつかは自分の手でワインを作ってみたい」
オーナー兼ワインメーカーである若林政起さんは20代の頃、当時、タイユバンロブションのソムリエであった従兄弟の若林英司さんにはじめて飲ませてもらったワインが忘れられないといいます。 それはもう衝撃的なカルチャーショックでした。それからワインに興味を持った若林さんは、ブルゴーニュの生産者に憧れを抱きました。そこにはワイン農家が誇りを持ってブドウ栽培からワイン生産まで行っている姿がありました。
実家が農家だったこともあり、「いつかは自分の手でワインを作ってみたい」そんな思いがあったといいます。1998年、当時25歳だった若林さんは、家業である農業を引き継ぎ、ワインを作ろうと計画します。しかし、現実は厳しく、当時の見積もりで設備投資が数億円の試算を見たとき、夢を砕かれました。
挫折した若林さんは、しばらく全く関係のない仕事に就いていましたが、10年ほど前から、ちらほらと小規模なワイナリーが登場し始めます。叔父がワインブドウ農家だったため、いろいろ聞いてみると醸造免許の規制緩和などがあり、少量生産でも実現出来る状況になっていました。「これなら自分も出来るかもしれない」そして若林さんの再挑戦がはじまります。
苦労の連続も個性放つテロワールを武器に自家製栽培100%の自社生産ワインが始まる
2008年、父から畑を借りワインブドウを植えました。農業の経験が無い状態での始めた当時はお父さんやワインブドウ農家の叔父の指導を受け研鑽を積みました。そしてワイナリー運営するノウハウを習得するべく近くのワイナリーに勤めながら醸造経験を積みました。 2011年、始めての収穫です。2013年、収穫量もある程度確保出来る様になったことなどもあり、自営で行っていた農業を株式会社化、農業生産法人として「ノーザンアルプスヴィンヤード」を立ち上げました。
現在2haの畑で葡萄を栽培しています。ブドウ畑の標高は760-790mです。アルプスおろしと呼ばれる風が北アルプスから麓に吹くため病害にあいにくい傾向にあります。 現在は慣行農法ですが、除草剤を使用せず、化成肥料を使用しない方向で運営しています。有機農法への変換は実験的に徐々にすすめ、有機JAS認定の農薬に変更するなど改革をすすめています。 慣行農法と有機農法の間の「良い落としどころ」をみつけることが課題です。農薬を使うにしても「的確なタイミングで最小限」が重要だと思っています。
ブドウ畑はリンゴ園だったり、水田だったところです。もともと河原だった所を戦前に祖父が畑にしました。重機などなかった時代に大変だったと思います。水はけに関しては20cm下には河原の層が出てくるので簡単に確保できました。この辺一帯は複合扇状地で土質は地元では『ガラ』とよんでいます。どちらかというと果樹栽培に適していて、近所にはリンゴ農家が多いです。
以前は、収穫したブドウは長野県東御市にあるヴィラデストワイナリーに出荷していました。一部、委託醸造というかたちで買い戻し、自社ラベルで販売を行っていましたが2016年に念願のワイナリーが完成し自家製栽培100%の自社生産ワインが始まりました。若林さんの夢は一歩ずつ歩み続けています。これからも目の離せないワイナリーです。
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